ネコだけど羊。

しゃみです。ピアノ演奏動画や楽譜の作成、また詩や曲の解説記事を書いています。

わをんレパ研① Great Day

どうも、しゃみです。 このblogではリアル身バレを防ぐために仮名ですが、わをんで細々とテナーを歌っているひとです。

今回の演奏会で歌うSpirituals(黒人霊歌)について、調べたことや考えたことを、思い切って公開してみることにしました。

一応、プロテスタントの教会に所属するクリスチャンなりに、聖書のストーリーを参照しながら、今回歌う黒人霊歌の解説をしてみたいと思います。 僕の解説が全て正しい保証はありませんので、あくまでも参考程度に読んでいただけたら。 (でも折角歌うのなら、曲のストーリーはある程度みんなと分かち合いたいなあ、という気持ちもあります)

前置きが長くなりました。では、宜しければおつきあい下さい〜。

Great Day

Great day, the righteous marching なんて素晴らしい日、聖なる行進 God’s going to build up Zion’s walls 主がシオンの壁を築いてくださる   Chariot rode on the mountain top チャリオットが山の上を走っていた (God’s going to build up Zion’s walls) (主がシオンの壁を築いてくださる) My God spoke and the chariot stop 我が主が語ると、チャリオットが止まる (God’s going to build up Zion’s walls) (主がシオンの壁を築いてくださる) This is the year* of jubilee 今年はヨベルの安息の年 (God’s going to build up Zion’s walls) (主がシオンの壁を築いてくださる) The Lord has set His people free 主が人々を解き放ってくださった (God’s going to build up Zion’s walls) (主がシオンの壁を築いてくださる) ※英語は現代の表現に直しており、また歌詞の繰り返しは一部省略 ※yearでなくdayになっているバージョンも少なからずある。

この曲を一行で言えば

・神の守りと救いの歌。解放の歌。

Zion #とは

“Zion’s wall"(シオンの壁)という言葉は、実は聖書には一度も出てきません。ですが、シオンは聖書のストーリーを語るにとても重要な言葉です。 シオンは語源的には要塞を意味します。壁とかでぐるーっと囲まれてガッシリと守られている感じ。ところで、聖地エルサレムは古代から要塞(城壁)の町でしたので、シオンは聖地エルサレム、転じてイスラエル辺りの地域を指す言葉にもなりました。また、ユダヤ民族の王国や神の国をも意味するようになっていきます。 ※紀元前1000年頃に、ユダヤ人は神の予言通り、エルサレムユダヤの王国を建てます。ソロモン王の頃なので、ソロモンの繁華と言われるやつですね。わたしはあなたの子孫に、この地を与える(創世記15:18)」

ユダヤ民族の歴史おさらい――黒人霊歌を理解するために

しかしユダヤの王国は、神が予言した通り、後に他国の侵略よって滅ぼされます。紀元前606年にバビロン帝国に攻められユダヤ民は捕虜として囚われたり、戻ってきたと思ったら紀元40年にローマ軍によって滅ぼされたり。 以後、ユダヤ民族は自分たちの領土を持たず、世界中に散らばる民族となります。彼らは、異邦の地で流浪し、迫害され、辛い思いをしかければなりませんでした。

このように、ユダヤ民族はこのような悲劇の運命を背負った民族です。しかし同時に神は、ユダヤのもし民族が神の言うことを聞き入れるならば、最終的には散った民を集め、自分たちの地を与えることも約束しています「わたし(神)は、あなたがたを諸国の民の間から連れ出し、すべての国々から集め、あなたがたの地に連れて行く(エゼキエル書36:24)」

この救いの約束があったから、ユダヤ民族は世界に散り散りになりながらも、自分たちのアイデンティティを失うこと無く、長い苦境を耐えることができたと言われています。

この、いつかは神の救いが訪れるというユダヤ民族の歴史物語、すなわち(旧約)聖書のストーリーは、同じく苦境の中にいた黒人の奴隷に慰めや希望を与えたので、ここ(聖書)から黒人のSpiritualsが生み出される要因となりました。

主がシオンの壁を築いてくださる

神がシオンの(に)壁を築くということは、神がユダヤ民族を他国の侵略から守ってくれるという、希望、救いです。 これまで何度も他国に滅ぼされてきたユダヤ民族だからこそ、「今度こそは神様が我々を守ってくださる」「今度こそ神様から自分たちの民族の地が与えられる」「自分たちはついに解放され、救われる」と、先祖代々味わった悲劇の歴史へのピリオドが予感されます。 長い歴史の中で先祖代々待ちわびたこの解放の日、この喜びを仲間と分かち合うこの日がGreat Dayなのかもしれませんね。

Year of Jubilee (ヨベルの年)は、聖なる解放の年

ヨベルの年とは、ユダヤ民族が最初にカナンに入った年から起算して50年ごとの記念の年です。 カナンとは、聖書で「乳と蜜の流れる場所」と描写され、神がアブラハムユダヤ民族の祖)の子孫に与えると約束した土地であることから、約束の地とも呼ばれます。今日のパレスチナのあたりです。 (前述のように、ユダヤ民族はここに王国を建てても結局外からの侵略で滅ぼされているので、約束はずっとお預け状態なのですが。それもあり、第二次大戦後、ユダヤ人国家のイスラエルがこのパレスチナを無理矢理手に入れようとして、パレスチナ人と紛争状態にあるわけです……)

ユダヤには7日に1日の周期で安息日があることを知っている人は多いでしょうが、同様に7年に1年は安息年があります。この年は土地を休ませないといけないので、種まきも借り入れもできませんが、その代わり、安息年の前の年には3年分の収穫がもたらされると神は言っています(ほんまかいな)。 7はユダヤにとっておめでたい数字です。なので安息年を7回経た次の年(=50年)は聖なるものとされ、ヨベルの年と呼ばれます。 ちなみにヨベルは角笛の意味です。

「あなたは安息の年を七回、すなわち七年を七度数えなさい。七を七倍した年は四十九年である。その年の第七の月の十日の贖罪日に、雄羊の角笛を鳴り響かせる。あなたたちは国中に角笛を吹き鳴らして、この五十年目の年を聖別し、全住民に解放の宣言をする。それが、ヨベルの年である。あなたたちはおのおのその先祖伝来の所有地に帰り、家族のもとに帰る(レビ記25:8-10)」

上記の聖書箇所に書いてある通り、ヨベルの年は、神が人々の解放を宣言する年です。神は、それぞれ自分の所有地に帰りなさい、自分の家族のもとに帰りなさい、と言います。当事、貧しくなった人は先祖から受け継いだ自分の土地を売ることがありました。しかし神は、それぞれ定められた土地に住むようにと命じているので、50年に一度、土地の持ち主が元通りにリセットされます。そのときは、あらゆる負債が帳消しとなる、解放の時とも言えます。

聖書のレビ記25章には、神から命じられた土地の取引の掟が事細かに書いてあります。同時に、神は、安息年とヨベルの年を守ることによって、祝福を約束されています。「あなたたちはわたしの掟を行い、わたしの法を忠実に守りなさい。そうすれば、この国で平穏に暮らすことができる(レビ記25:18)」

神がシオンの壁を作る(作れと人々に命令した)ときがちょうど、ユダヤ暦のヨベルの年だったので、(他民族からの)解放への期待、高揚感は一層高まっていたことだと思われます。

余談:エルサレムにはmontainはない。

たまたまですが、エルサレムにシオン山なる山があります。先述の通り、Zionは広くイスラエルを指す言葉でもあるので、この歌で歌われているのがこの山である可能性は低いです。 何が言いたいかといえば,見た感じそんな険しい山じゃない。むしろ丘と言える。

これだったら、チャリオット(古代の戦争用馬車)も山頂まで登れそう。

終わりに

blog記事1本目なのにこんなに長くなってしまった……orz 最後までお読み頂き、ありがとうございました。 曲に向き合う一助になれば幸いです。

参考にさせていただいたサイトなど

シオンとは(英語) https://www.gotquestions.org/Zion.html ヨベルの年について http://www.logos-ministries.org/old_b/lev24-25.html 予言されたユダヤ民族の歴史 http://www2.biglobe.ne.jp/remnant/yogen1.htm 日本聖書協会聖書本文検索 http://www.bible.or.jp/read/vers_search.html