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三味線の糸巻きの回し方|支え方と少しずつ合わせる操作

糸巻きを回して音を合わせるときは、楽器の構えを安定させ、音を鳴らしてから動かします。通常型の糸巻きは、回転させるだけでなく、軸を差し込む向きに支えを加えて位置を保ちます。目標の音に近づいたら回す動きを小さくし、止めた状態の音まで確かめましょう。

この記事は、右手のバチで糸を鳴らし、左手で通常型の糸巻きを回す座奏を対象にしています。糸と駒が正しく取り付けられ、普段の構えで音を出せることが前提です。新しい糸を巻き付ける作業や、固まった糸巻きを動かす作業は含めません。

最初に糸巻きの仕組みを確かめる

通常型の糸巻きは、差し込まれた部分の摩擦で止まります。糸巻きが通る穴には、福林という金具があります。調弦では、その穴へ軸を差し込む向きに支えながら回し、糸の張りと糸巻きの止まり具合を整えます。

先端に別の部品を備えた製品では、扱いが異なります。たとえば、亀屋邦楽器が案内する「ゆるまない糸巻き」は、先端の蓋状の部品を使う仕組みです。同店は、この製品では通常型のように天神へ親指や小指を掛けて押し込まないよう説明しています。

仕組みが分からない場合は、購入時の説明や製品名を先に確認してください。見た目だけで通常型と決めず、改良型は製品ごとの案内を優先します。以下の押し込み方は、通常型に限った説明です。

回す糸巻きと目標の音を決める

まず、合わせたい糸を棹から天神まで目でたどり、どの糸巻きにつながっているかを確かめます。太い順に一の糸、二の糸、三の糸です。糸巻きの位置だけを見て操作を始めると、違う糸を動かしてしまうため、最初は糸とのつながりも見ておきましょう。

目標の音は、練習曲や先生から指定された調子に合わせて決めます。一の糸の高さと、本調子・二上り・三下りなどの調子の組み合わせが必要です。三味線なら必ず同じ音に合わせる、というわけではありません。

音を高くするには糸を張り、低くするには緩めます。ただし、「右へ回す」「時計回りに回す」だけでは、見る側や糸の巻き方が分かりません。手元の糸が巻き取られる向きとほどける向きを確かめ、音の変化と対応させます。糸巻きの形や太さが違う楽器に、同じ回転量や握り方をそのまま当てはめないでください。

右の太腿と前腕で胴を安定させる

糸巻きへ手を伸ばす前に、いつもの座った構えを整えます。胴を右の太腿に置き、右前腕の手首と肘の間で胴を支えます。膝ゴムを使う場合は、胴が太腿に当たる位置に敷きます。右手で糸を鳴らす間も、胴が滑らない状態にしましょう。

バチを動かすときに右腕全体が大きく動くと、楽器も不安定になります。教育芸術社の教材では、胴を支える前腕と、バチを動かす手首の役割を分けて説明しています。左手を糸巻きへ移しただけで胴や棹が傾くなら、回し始めずに構えを整え直します。

ここでは、この座奏の姿勢で進めます。正面に楽器を立てて調弦する方法もありますが、手の向きや支える場所が変わるため、途中で二つの姿勢を混ぜないようにしてください。

一と三は親指を掛けて支える

一の糸と三の糸を調整するときは、左手で対象の糸巻きを握り、親指を天神の内側の木枠に掛けます。菊岡中むらの実写真で示されている持ち方です。握っている指で糸巻きを回しながら、親指を掛けた枠との間で、軸を福林へ差し込む向きの支えを作ります。

押す向きは糸巻きの軸に沿う方向です。糸巻きの先を上下にこじったり、回し終わってから強く押し直したりしないでください。後から押し込もうとすると、合わせた音も動くことがあります。指を掛けた位置から回す動きへ、無理なく移れる持ち方を確かめます。

二は小指を掛けて支える

二の糸では、左手の小指を天神の木枠へ掛け、ほかの指で糸巻きを握ります。一・三と同じ親指の形をそのまま使うのではなく、小指の支えを残して回します。日本和楽器製造と菊岡中むらの資料には、この違いが写真付きで示されています。

指を掛けるために手首を無理にひねったり、楽器全体を傾けたりする必要がある場合は、そのまま回し続けないでください。糸巻きの太さと手の大きさによって、握りやすさは変わります。支えが保てるかを先に確かめ、回す練習はそのあとに進めましょう。

音を鳴らして少しずつ合わせる

次の流れを、合わせる糸ごとに繰り返します。調弦の操作に慣れるまでは、一度に大きく回して狙うより、音を聴いて動きを止める区切りを作ると確認しやすくなります。

1 開放弦の音を確かめる

左手で棹の糸を押さえず、対象の糸だけを右手のバチで鳴らします。今の音が目標より高いのか、低いのかを確かめてから糸巻きを動かします。チューナーを使う場合も、何の音に合わせるかを決めてから表示を読みましょう。

2 音が聞こえる間に小さく回す

先ほどの指の支えを保ち、音を聴きながら糸巻きを回します。現在の音が低ければ張る向き、高ければ緩める向きです。通常型では、回転とともに軸を差し込む向きの支えを加えます。音が目標に近づいたら、変化を聴き取れる小さな動きで合わせます。

音が消えたら、いったん回す動きを止めて鳴らし直します。音を聞かずに回し続けると、どこまで動かしたか判断しにくくなります。回す量は何回転、何ミリと共通に決めず、その都度、音がどれだけ変わったかを確かめましょう。

3 回すのを止めてもう一度鳴らす

目標の音になったら回転を止め、同じ糸をもう一度鳴らします。糸巻きを動かしている最中の音だけで終えず、止めた位置でも目標の音を保てるか確認します。狙いを越えてしまった場合も、まず止めて現在の音を確かめ、次にどちらへ直すかを決めます。

一の糸から合わせる場合は、音と止まり具合を確かめてから二の糸、三の糸へ進みます。最後に三本を順に鳴らし、指定された調子になっているかを聞き直してください。手を離すと糸巻きが急に戻る場合は、通常の微調整をいったん終え、次の点検へ切り替えます。

固いときや戻るときは操作を止める

糸巻きが固くて動かないときは、握る力を増やして回さないでください。無理に回すと折れることがあります。音が合わない状態と、糸巻き自体が動かない状態は別です。固着した糸巻きの対処を、普段の調弦練習の延長で行わないようにしましょう。

反対に、止めてもすぐ戻る場合は、押し込み不足と決めつけないことが大切です。巻かれた糸が糸倉の壁へ当たり、糸巻きを押し戻している例もあります。支え方を確かめても保持できなければ、巻かれた部分や糸巻きの状態を三味線店に見てもらいます。

相談するときは、どの糸巻きか、回すときに固いのか、止めたあとで戻るのかを伝えると、症状を分けて説明できます。普段の調弦では、支える、鳴らす、小さく回す、止めて確かめる、という流れを落ち着いて繰り返しましょう。

参考資料

日本和楽器製造 三味線カタログの14・15頁と、教育芸術社 中学生の器楽 音声テキストの「三味線」を参照しました。楽器の支持と糸巻きの持ち方を、別々の教材から確認しています。

指の掛け方は菊岡中むら 糸巻きの回し方、音を鳴らして調整する考え方はSu Bunjamin Tips for Tuning the Shamisenを参照し、初心者が途中で確認できる手順に整理しました。

機構の例外は亀屋邦楽器 ゆるまない糸巻きの使い方、音高と張りの関係は三萃園 調弦の基礎、目標音は松永鉄九郎 三味線のしおり 調弦法を参照しました。

中止と点検の説明には、菊岡中むらの糸巻きが硬くて動かないと糸の巻き方によって止まらない例を用いました。