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三味線を弾き終えたら|日常の手入れと片づけ

三味線を弾き終えたら、駒と糸を片づけ、棹の手垢や汗を拭いてからケースへ収めます。毎回の手入れで落とすのは、その日の演奏で付いた汚れです。落ちない汚れを磨き落としたり、ぐらつく部品を直したりする作業は、日常の片づけと分けて考えましょう。

片づけは、楽器の変化に気づく機会でもあります。拭く場所、駒の入れ物、ケースに収める順序を決めておくと、普段と違う手応えや見た目を確かめながら進められます。ここでは、演奏を終えてから収納するまでの流れと、途中で作業を止める目安を説明します。

先にケースを開き、道具の置き場を空ける

ケースは水平で安定した場所に置き、楽器が収まる部分を空けます。そばには、いつも使う布と袋、駒や撥の入れ物を用意しましょう。楽器を持ち上げてから収納場所を探すと、置き場が決まらないまま片手で支えることになります。必要な物を先にそろえ、楽器と小物を順に扱える状態にします。

楽器を壁や椅子に立てかけて、片づけの途中の置き場にするのは避けてください。持ち替えるときも、糸ごと棹を握り込まないようにします。邦楽普及拡大推進事業の貸与楽器用資料では、棹と糸を一緒につかむと、糸切れや棹の傷につながると説明しています。袋を外したりかぶせたりするときほど、どこを支えているかを確かめましょう。

借りた三味線では、付属の布や袋も楽器と一組として扱います。同じ教室でも収納用品が違う場合は、別の楽器の片づけ方と混ぜず、貸し出し時に教わった組み合わせを使ってください。

駒を外し、糸を保管時の状態にする

演奏後に駒を外し、糸を緩める扱いは、メーカーの説明書や取扱資料に見られます。ただし、先に糸を緩めるか、駒を外してから緩めるかは資料によって異なります。手元の楽器で教わった順序に沿って行いましょう。緩める量を糸巻きの回転数で一律に決めることもできません。

駒を外すときに確かめたいのは、駒が糸に引っ掛からず動くかどうかです。貸与楽器の資料では、糸を持ち上げて駒を動かし、糸を傷めないようにしています。いつもより強い力が必要なら、そのまま引き抜かずに手順を見直してください。糸を緩める操作に不安がある場合は、実物で緩める前後の状態を教わり、次回も再現できるようにしておきます。

外した駒は、すぐ専用の入れ物へ収めましょう。ケースの内張りや袋の中へ仮置きすると、次の収納作業で見失いやすくなります。このとき、駒に割れや欠けが見えたら使用前に相談が必要です。溝を削る、接着するなどの修理を片づけのついでに行わないでください。

棹は、手が触れたところを軽く乾拭きする

棹には、演奏中に手垢や汗が付きます。購入時に指定されたつやふきんや、用途に合う乾いた柔らかい布で、なでる程度に拭き取ります。棹の裏側だけでなく、糸と棹の間も見落とさないようにしましょう。糸を押さえて弾いた部分も、手が触れていた場所です。

拭き始める前に、布へ砂粒や硬い汚れが付いていないかを見ます。布が引っ掛かったら、そのまま引っ張らずに止めてください。貸与楽器の資料がタオルではなくつやふきんを指定するのは、タオルの繊維が引っ掛かり、楽器に傷を付けるおそれがあるためです。「柔らかそうな布なら何でも同じ」とは考えず、普段の布を決めておくと迷いません。

軽い拭き取りで落ちない汚れが残っても、力を強める必要はありません。たとえば棹の一か所だけに白っぽい跡が残る場合は、どこにあるかを写真に残し、その日の作業を終えます。汚れか傷かを確かめようとして、爪や硬い物でこすると別の作業になってしまいます。

水で濡らした布やアルコールを使う方法は、貸与楽器の資料では禁止されています。市販の木材用ワックスや油も、手元の棹の仕上げに使えると分からないまま足さないでください。専門店が専用品を紹介していても、その製品がすべての三味線に合うという意味ではありません。

胴と皮は、汚れの有無を見て扱う

棹を拭いた流れで、胴の皮も同じ強さで磨くのは避けましょう。皮面は、まず破れ、浮き、いつもと違う汚れがないかを見ます。張り具合を調べるために押したり、気になる跡を何度もこすったりする必要はありません。

胴と皮の清掃は、対象の説明を読み分けます。貸与楽器の資料では、胴に汗などが付いていなければ拭かなくてもよいとしています。一方、みんふう楽器店の案内には、皮面をやさしく乾拭きする方法があります。胴についての説明を、皮の表面にもそのまま当てはめないことが大切です。皮を張った店から清掃方法を教わっている場合は、その扱いに従ってください。

人工皮でも、強くこすってよいとは限りません。また、皮が人工素材でも棹や胴は木製の製品があります。人工皮だから手入れを省けると考えず、皮面の扱いと木部の拭き取りを分けて確認しましょう。水濡れや破れを見つけた日は、通常の乾拭きだけで片づけを済ませず、その状態の扱いを購入店や貸し出し元に確認します。

指定の袋へ収め、ケースを無理なく閉じる

楽器に付属する胴板、和紙袋、長袋には、それぞれ指定された使い方があります。収納時は、使う物と順序を購入時の説明に合わせます。厚く包めばよいと考えて、家庭用の袋を足すのは控えましょう。

特にビニール袋は、案内が分かれます。邦楽普及拡大推進事業の資料では、貸与楽器を和紙袋とビニール袋、長袋へ収めるよう指定しています。一方、三萃園のメンテナンス案内には、ビニール袋で保管しないという動画目次の項目があります。手元の楽器に適した条件が分からないまま、一方の方法を別の楽器へ移さないでください。

ケースへ収めたら、固定ひもや支持部を説明どおりに使います。駒と撥が所定の位置にあり、袋が留め具に挟まっていないかも確認しましょう。蓋が普段より閉じにくい場合は、押して閉めず、いったん開いて収まりを見直します。「いつもどおりに閉まるか」は、片づけの最後に確認しやすい点です。

ケースは、直射日光や空調の風が直接当たらない場所へ戻します。夜に日が当たっていなくても、昼間に窓から日差しが届く場合があります。毎日の収納場所が決まっていても、季節や家具の配置が変わったときには見直しましょう。

いつもの手入れで済む日と、相談が必要な日

軽く拭いて汚れが落ち、駒や糸を普段どおりに片づけられ、ケースも無理なく閉まるなら、毎回の作業はそこで終えます。光沢を出すために磨き続けたり、異常がない部品まで動かして確かめたりする必要はありません。

反対に、糸の毛羽立ち、駒や撥の欠け、皮の破れ、部品のぐらつきを見つけたら、変化した場所と発見した日を残しましょう。「練習後に三の糸の一部分が毛羽立っているのを見つけた」のように、見えたことをそのまま書けば十分です。原因を決めつけず、演奏を続けてよいか、交換や修理が必要かを相談します。

拭く、収める、変化を見る。この三つを毎回の片づけに組み込むと、次に取り出すときにも状態を確かめやすくなります。日常の手入れで迷った箇所は、その楽器の説明を一度実物で確認し、自分の片づけ手順にしておきましょう。

参考資料

日常の扱いは、邦楽普及拡大推進事業の貸与楽器用資料、スズキ「ききょう」取扱説明書、みんふう楽器店のお手入れ方法、三萃園のメンテナンス案内を参照しました。製品の説明は記載された対象に限られます。