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三味線の独学は何から始める?楽器・教材選びと最初の練習

三味線の独学は、弾きたい音楽を選び、その音楽に合う教材と楽器を確かめるところから始められます。楽器を持っている人は、準備と調弦を確認し、一音、短い一節へと進めましょう。まだ楽器がない人は、演奏を聴いて好みを探し、教材の対象を比べることから取り組めます。

最初から一曲を通す必要はありません。今日は何を練習し、どこまで分かったかを残すと、次にすることを決められます。ここでは自宅で学ぶための準備と練習の組み立て方を説明します。構えや手の動きはジャンルで違うため、実技は選んだ教材の見本に合わせて確認してください。

弾きたい音楽を一つ選ぶ

三味線には、長唄、地歌・地唄、義太夫節、小唄、民謡、津軽三味線など、さまざまな音楽があります。音楽の種類によって棹や胴、撥の形、弾き方が違います。「三味線入門」と書かれていても、すべてが同じ内容を教えるわけではありません。

たとえば長唄は歌舞伎と関わりの深い音楽で、細棹の三味線を用います。地歌は三味線を弾きながら歌う形を基本とし、箏や尺八などとの合奏もあります。小唄には撥を使わない爪弾きがあり、津軽三味線の撥の持ち方をそのまま練習の入口にすることはできません。

まだ好みが決まっていなければ、気になった演奏を一つ選び、曲名、演奏者、ジャンルを控えてみましょう。「唄と一緒に弾きたい」「独奏の一節を弾いてみたい」という希望も添えます。好きな曲が見つかっても、その演奏を最初の課題にする必要はありません。同じジャンルの入門教材を探す手がかりにします。

楽器を買う前に教材との組み合わせを確かめる

楽器がない場合は、購入、レンタル、体験での貸出を比べられます。ただし、教室で使う貸出と、自宅へ持ち帰るレンタルは別です。たとえば津軽三味線教室のすけ会は、教室の楽器で体験や通常レッスンを始められると案内しています。自宅練習に使いたい場合は、持ち帰りの可否、期間、費用、付属品を別に確認しましょう。

譲り受けた楽器がある人は、分かる名称と付属品を先に書き出します。種類が不明でも、来歴、以前に弾いていた音楽、残っている説明書や糸の袋は手がかりになります。希望するジャンルに使えるか、使う前に点検が必要かを、三味線を扱う店や指導者に相談できます。

中古品を検討する際も、写真と本体価格だけでは判断しきれません。すぐに演奏できる状態か、皮や糸巻に修理が必要か、駒や撥が付くか、修理や不足品を含めていくらになるかを確認します。自分で部品を押したり分解したりして確かめるのではなく、販売者の説明と専門店の点検を求めるための項目です。

道具は名前と役割を知って確認する

必要な道具は、ジャンルと教材に合わせてそろえます。まず手元にある物を確かめ、不足している物だけを確認しましょう。次の一覧は持ち物を整理するためのものです。すべてを一度に買うための必需品リストではありません。

  • 楽器と駒。駒は糸の振動を皮へ伝える部品です。形や高さにはジャンル・流派による違いがあります。
  • 撥を使う教材なら、その教材に合う撥。小唄の爪弾きなど、撥を使わない弾き方もあります。
  • 指すりや予備の糸など、教材で指定される物。指すりは左手が棹に沿って動くのを助けます。予備の糸は、今使う糸の種類が分かってから用意します。
  • 調弦の見本音やチューナーなど、音を合わせるための手段。使い方に加え、どの音へ合わせるかが分かる説明も必要です。
  • 教材を見られる場所と、練習を記録する手段。ノートや手元の録音機器など、すでに持っている物を使えます。

道具名を控えても、駒の付け外しや糸の交換がすぐにできるとは限りません。最初に準備から片付けまでの説明を読み、未経験の操作は対応する実演で確かめます。持ち物の確認と、楽器を扱う手順の習得を分けて進めましょう。

教材は対象と見本がそろっているかを見る

教則本や動画を選ぶときは、対象ジャンル、教える人、譜面の種類を確認します。続いて、構え方、音の出し方、調弦、初めの練習が順に説明されているかを見ます。曲の演奏動画だけでは、どの糸を鳴らしているかや、手の動きを省いているかまで分からない場合があります。

音の見本は、練習するページや課題と対応しているものを選びましょう。CD付きなら再生できる環境があるか、動画なら必要な手元が見えるかも確認します。全体演奏しかない教材と、一音ずつの見本がある教材では、自分で確かめられる内容が違います。

具体的な刊行例として、『久保木脩一朗の津軽三味線教本』の出版社案内には、初級で五線譜と三味線譜を併用し、構え、調弦、撥、指使いを扱うとあります。このように目次と付属音源の案内を読み、今知りたい内容があるかを確かめます。題名や「初級」の表示だけで、自分の楽器や目的に合うと決めないようにしましょう。

最初は中心にする教材を一つ決め、別の教材は疑問を調べるために使う方法があります。説明が違って見えたら、ジャンル、流派、譜式、課題の目的を比べます。たとえば片方が爪弾き、片方が撥を使う課題なら、手の動きが違うこと自体は不思議ではありません。

最初の練習は準備から短い一節へ進む

調子と基音を確かめる

練習を始める前に、教材の準備手順と調弦を確認します。「本調子」「二上り」「三下り」は三本の糸の音の関係を示し、基音はその出発点になる音です。調子名だけを合わせても、見本と実際の音の高さが一致するとは限りません。

曲の調子名と基音の指定を見つけたら、教材の方法で音を合わせます。別の動画を開くたびに、その音へ合わせ直す必要はありません。まず同じ課題と同じ見本を使い、何を基準にしているかをはっきりさせましょう。操作がまだ分からない場合は、曲へ進む前に教材の調弦部分を確認します。

一音で見るところを決める

構え方の見本を確認したら、教材で指定された糸を一音鳴らします。初めに「どの糸か」「押さえる音か、開放弦か」「どの手の動きを確かめるか」を決めます。一度に音量、音程、速さを全部直そうとせず、今回は狙った糸を鳴らせたかなど、見本と比べる点を一つに絞ります。

左手を使う段階では、勘所と指を分けて読みます。勘所は糸を押さえる位置です。文化譜を使うなら、線が糸、数字が勘所、0が開放弦を表します。ただし三味線の譜は文化譜だけではないので、使う教材の数字が何を示すかを先に確認してください。

短い一節を聴いて弾く

教材の導入課題から、始めと終わりが分かる短い範囲を選びます。同じ範囲の見本を聴き、譜面で糸、押さえる位置、音の長さを確かめてから弾いてみましょう。途中で止まる場合は、その直前と止まる音だけに範囲を狭めます。

たとえば、三つ目の音で糸を替えるたびに止まるなら、二つ目から三つ目への動きを取り出します。そこが確かめられたら前の音をつなぎ、元の一節へ戻します。知っている曲でも編曲や譜式で必要な動きは変わるため、曲名だけで簡単かどうかを決めないことも大切です。

録音は一つの点を聴き返す

録音するなら、練習した短い範囲を残し、見本の同じ箇所と聴き比べます。今回は音の高さ、次は音を出すタイミングというように、聴く点を一つ決めましょう。「最後の音だけ高く聞こえる」「糸を替える前で間が空く」など、聞き取れたことを言葉にします。

録音だけで、構え方や手の動きが正しいと判断することはできません。音から分かったことを記録し、手の動きは教材の映像や実際の指導で確かめます。撮影する場合も、見えていない角度を想像で補って正解と決めないようにしましょう。

つまずいたら原因を分けて見直す

見本と音の高さが違うときは、まず同じ調子、基音、糸を使っているかを確かめます。押さえない開放弦から違っていれば、勘所を動かす前に調弦の指定を見直します。開放弦は合っていて特定の押さえた音だけが違う場合は、譜面の糸と番号、教材の押さえる位置を確かめます。音の違いだけで原因を一つに決めつける必要はありません。

譜面を読むたびに止まるなら、楽器をいったん置いて、同じ箇所の糸と数字を言葉で読んでみましょう。音の長さが分からなければ、今度は糸と勘所を離れ、拍だけを数えます。読むことと手を動かすことを別々に試すと、どちらで迷っているかを整理できます。

楽器が安定せず見本の動きを試せない、手に痛みが出る、調弦の操作に強い力が必要になるといった場合は、練習量を増やして解決しようとせず、いったん止めます。構え、道具、楽器の状態など、自分では判断しにくい点を指導者や専門店に見てもらう場面です。

続けるために次の一回を小さく決める

練習の終わりに、今日の範囲、分かったこと、次にすることを一行ずつ残してみましょう。「導入曲の最初の一節」「糸は選べた」「次は最後の二音の長さを確かめる」という書き方で十分です。毎回すべてをやり直すより、次に取り組む箇所を決めて終えられます。

時間が取れない日は、教材の短い見本を聴く、糸と数字を読むなど、楽器を出さずにできる課題を選ぶ方法もあります。毎日決まった分数を守ることだけを目標にせず、生活の中で続けられる機会と内容を考えてみてください。

一人では判断できない点が残ったら、教材名、曲名、箇所、試したことを添えて相談します。「この一節の最後だけ高く聞こえます。開放弦は見本と比べました」のように、すでに確認したことも伝えましょう。単発の相談や独学との併用ができるかは教室ごとに異なるため、受講前に条件を確認します。

今日始めるなら、弾きたい音楽を一つ控えるか、教材の最初の課題を開くところからで構いません。楽器と教材が決まっている人は、練習する短い範囲と、見本と比べる点を一つ決めてみましょう。

参考資料

ジャンルによる違いは、日本芸術文化振興会の三味線音楽、地歌、端唄 うた沢 小唄で解説されています。

学び始める順序と教室内の貸出の例はのすけ会 初心者ガイド、教材の掲載項目はヤマハ 久保木脩一朗の津軽三味線教本を参照できます。

調子と基準音は洗足学園音楽大学の三味線解説、駒の役割と種類は松永鉄九郎 三味線のしおり 駒を参考にしています。