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三味線の用語辞典|読み方と関連記事を探す

三味線の言葉には、楽器の部品名、音を合わせるための言葉、曲や演奏の形を表す言葉があります。同じ漢字でも、話している対象によって読み方や意味が変わる場合があります。たとえば「中棹」は、棹の中央部分なら「なかざお」、太さの分類なら「ちゅうざお」です。

この辞典では、基本的な用語を分野ごとにまとめました。かっこ内は読み方です。ジャンルを記した項目は、その文脈で使う意味を説明しています。用語を調べた後は、関連する解説で実物の位置や演奏の中の働きを確かめてください。

楽器の部分と道具を表す言葉

棹(さお) 三本の糸に沿って伸びる木の部分です。名称の説明では天神から中木先まで含める場合と、糸を押さえる細長い部分を指す場合があります。部位の細かな範囲は、説明図と一緒に確認します。

天神(てんじん) 楽器の頭部にある、曲がった部分を指す名称です。乳袋(ちぶくろ)から上をまとめて呼ぶ説明もあります。棹の中央や胴の部品ではありません。

糸倉(いとぐら) 頭部の枠の間にある、糸巻で巻き取られた糸が収まる空間です。「糸巻」と似た名前ですが、持って回す部品を指す言葉ではありません。

糸巻(いとまき) 頭部に取り付けられた、糸を巻く部品です。糸の張りを調整し、音の高さを合わせるときに使います。「糸巻き」とも書きます。

中棹(なかざお) 三つに分かれる棹の中央部分です。上棹(かみざお)と下棹(しもざお)の間にあります。太さを表す「中棹」とは読み分けます。

細棹 中棹 太棹(ほそざお ちゅうざお ふとざお) 棹の太さによる大まかな分類です。長唄で細棹、義太夫節で太棹を用いるなど、音楽との関係があります。共通の部品規格や、楽器の良しあしを表す名前ではありません。

中木(なかぎ) 下棹から続き、胴の内部を通る木の部分です。「中子」とも書きます。中央の棹である「中棹」とは位置が違います。

胴(どう)と皮(かわ) 胴は箱状の部分、皮はその表裏に張られる膜です。胴という大きな部位と、その面を覆う材料を区別します。

駒(こま) 胴の皮の上で糸を支える部品です。楽器の種類によって形や仕様が異なります。頭部側にある上駒(かみごま)とは別の部品です。

音緒(ねお) 胴の下側で糸を留めるためのひもです。「根緒」という表記もあります。名称の違いだけで別部品とは判断せず、取り付ける場所を確かめます。

撥(ばち) 糸を弾くために持つ道具です。形や大きさ、材質は用途によって異なります。三味線には、撥を用いない演奏もあります。

指掛け 指すり(ゆびかけ ゆびすり) 棹に沿って左手を動かしやすくするための道具です。呼び名や形に違いがあるため、使うジャンルの道具として確かめます。

さわり 一の糸が棹側の一部に触れることで生じる独特の響きや、その仕組みを指します。単に不要な雑音という意味ではありません。東さわり(あずまさわり)は、ねじで調整する仕組みの一つです。

三つ折(みつおれ)と延べ棹(のべざお) 三つ折は棹を三つに分けられるつくり、延べ棹は分割しないつくりです。名称を知ることと、実物を分解できることは別なので、構造が不明な楽器を引っ張って確かめるのは避けましょう。

音の高さと調弦に関わる言葉

一の糸 二の糸 三の糸(いちのいと にのいと さんのいと) 三本の糸を太い順に呼び分ける名称です。一の糸が最も太く、三の糸が最も細くなります。写真の左右だけで覚えず、太さと対応させます。

開放弦(かいほうげん) 棹の上で糸を押さえずに鳴らす状態、またその音です。楽譜の開放弦の記号は譜式によって違うため、いつも0とは限りません。

勘所(かんどころ) 音の高さを変えるために糸を押さえる位置です。楽器に取り付ける部品ではありません。勘所の番号と実際に出る音の高さは、糸と調子を合わせて考えます。

調弦(ちょうげん) 弦の音の高さを整えることです。チューニングとも呼びます。三本の音をどの組み合わせにするかと、全体をどの高さに合わせるかを分けて考えると、説明を理解しやすくなります。

調子(ちょうし) 三本の糸の音程の組み合わせを指す言葉です。代表的なものに本調子、二上り、三下りがあります。曲名に調子の名称が入ることもあります。

本調子(ほんちょうし) 一の糸から二の糸までを完全四度、二の糸から三の糸までを完全五度にする調子です。一の糸と三の糸は一オクターブの関係になります。

二上り(にあがり) 本調子から二の糸を全音上げた調子です。「二上がり」とも書きます。二本の糸を上げるという意味ではありません。

三下り(さんさがり) 本調子から三の糸を全音下げた調子です。「三下がり」とも書きます。三本すべてを下げる操作の名前ではありません。

本調子などの名称だけでは、一の糸の絶対的な高さまでは決まりません。曲や歌い手に合わせる基準の高さと、三本の糸の関係を区別して確認します。

楽譜と音の伝え方に関わる言葉

口三味線(くちじゃみせん) 三味線の音を声で唱えて伝える方法です。音の高さだけでなく、音色やリズム、奏法に関わる情報も含みます。唱え方には演奏者などによる違いがあります。

文化譜(ぶんかふ) 三本の糸に対応する線に、勘所の番号を記す譜式です。「赤譜」とも呼ばれます。数字はドレミをそのまま置き換えたものではありません。

研精会譜(けんせいかいふ) 階名を数字で表す縦書きの譜式です。「小十郎譜(こじゅうろうふ)」とも呼びます。文化譜の勘所番号をそのまま当てはめて読むことはできません。

青柳譜(あおやぎふ) 階名を数字で表し、縦の三本線で糸を示す譜式です。「弥之介譜(やのすけふ)」とも呼びます。三本線がある点は文化譜と似ていますが、数字の意味が異なります。

家庭式譜(かていしきふ) 地唄で用いられる勘所譜の一つです。「地歌譜」とも呼ばれます。字体で糸を区別し、枠でリズムを示す形が見られます。細部は使用する本の凡例で確かめます。

譜式を見分けるときは、横書きか縦書きかに加えて、数字が勘所を示すのか、階名を示すのかを確かめます。読み方の手順は「三味線の楽譜の種類」で詳しく説明します。

曲の中で三味線が担う部分を表す言葉

前弾(まえびき) 長唄では、曲の初めに唄に先立って三味線が演奏する部分です。まず声が入るまでを聴くと、場所を捉えやすくなります。

合の手(あいのて) 長唄では、歌の合間に入る短い三味線の演奏を指します。合方との区別は常に明確というわけではありません。

合方(あいかた) 長唄など、歌舞伎と関わる三味線音楽で、まとまった長さの器楽部分を指します。歌詞が途切れた後も楽器の演奏が続き、器楽として聴かせる部分です。

手事(てごと) 地唄などで、歌の間に置かれる、器楽の演奏が発達した部分です。手事を含む曲を手事物(てごともの)と呼びます。長唄の合方と、用いる文脈を分けて覚えます。

本手 替手(ほんて かえて) 地唄や箏曲(そうきょく)などの合奏で、本手は基本の旋律、替手はそれに組み合わせる別の旋律です。「ほんで」「かえで」という読みもあります。替手が加わる合奏では、全員が同じ音を弾くとは限りません。

上調子(うわぢょうし) 長唄などで、高い音域に調弦し、装飾的な旋律を担当する三味線や奏者を指します。二上りなどの調子の名称とは使い方が異なります。

演奏者と音楽の形を表す言葉

唄方 三味線方(うたかた しゃみせんかた) 長唄などで、唄を担当する人と三味線を担当する人の呼び分けです。地唄のように、一人が三味線を弾きながら歌う音楽もあります。

太夫(たゆう) 浄瑠璃(じょうるり)の文脈では、語りを受け持つ人を指します。義太夫節では、人物のせりふ、心情、場面の情景などを語ります。

囃子(はやし) 長唄では、笛や小鼓(こつづみ)、大鼓(おおつづみ)、太鼓などによる演奏を指します。担当する奏者を囃子方(はやしかた)と呼びます。唄と三味線だけで演奏する場合もあります。

素浄瑠璃(すじょうるり) 人形や役者の演技を伴わず、語りと三味線で演奏する形です。語り手一人による無伴奏の朗読という意味ではありません。

三絃 三弦(さんげん) 地唄の文脈で、三味線を指して使われる呼び名です。同じ文字は別の楽器の説明にも登場するため、文字だけで楽器を決めず、ジャンルや出演者欄も確認します。

地唄 地歌(じうた) 上方(かみがた)で育った三味線の歌曲を指します。「地唄」と「地歌」は表記の違いです。各地の民謡をひとまとめにした名称ではありません。

三曲 三曲合奏(さんきょく さんきょくがっそう) 三曲は、地唄・箏曲・尺八楽(しゃくはちがく)など、関わりの深い音楽の総称です。三曲合奏は、三味線と箏(こと)に、尺八または胡弓(こきゅう)を組み合わせる演奏の形を指します。三曲を続けて演奏するという意味ではありません。

調べたいことから詳しい解説へ進む

楽器のどこにあるかを知りたい言葉は、「三味線の各部名称」へ進むと位置と役割を確認できます。「中棹」の読み分けも、楽器の部分と太さの分類を並べると理解しやすくなります。

前弾や合方、唄方などは「長唄とは」、手事や三曲合奏は「地唄と三曲合奏」、太夫や素浄瑠璃は「義太夫節と文楽」の解説につながります。「三味線」と「三絃」のように呼び名そのものが気になるときは、名称と読み方の解説を参照してください。

辞典の短い定義だけで、実際の奏法や道具の適合まで判断する必要はありません。知らない言葉が出た箇所と、その曲やジャンルの名前を一緒に残すと、詳しい説明を探したり、先生や楽器店に尋ねたりしやすくなります。

参考資料

部位と種類 日本芸術文化振興会 三味線の役割と種類、東京藝術大学 三味線の部分と道具、向山楽器店 三味線の豆知識、和楽器市場 三味線の名称、東京邦楽器商工業協同組合 三味線のできるまで。

楽譜と調弦と長唄 松永鉄九郎 三味線のしおり、和楽器研究会 三味線の楽譜について、杵勝会 長唄とは、日本芸術文化振興会 長唄。

地唄と語りの用語 日本三曲協会 三味線楽及び地歌とは・三曲とは、日本芸術文化振興会 地歌・義太夫節。